アルミ TIG 溶加棒について最も多いご質問は、銘柄ではなく線径です。「3 mm の板を溶接するなら 2.4 と 3.2 のどちらを買えばよいか」。細すぎると溶加棒がすぐに溶け切って溶接部が埋まらず、何度も棒を取り替えることになります。太すぎると溶加棒が溶融池の熱を奪い、母材が十分に溶け込まず、酸化皮膜が溶接金属に巻き込まれます。本記事では、カナダ Indalco アルミ溶接材料のアジア唯一の正規代理店である商濠實業(Mastership)が、AWS A5.10 溶加材メーカーが公開している TIG 施工条件表をもとに、板厚・溶加棒線径・タングステン径・電流・ノズル・アルゴン流量を 1 枚の表にまとめました。
先に結論:原則はひとつ
薄板では溶加棒の線径≒板厚、厚板では溶加棒の線径≒板厚の半分。1.6 mm 板には 1.6 mm、3.2 mm 板には 2.4 mm、6 mm 板には 4.0 mm、10 mm 以上には 4.8 mm です。迷ったときは細いほうを選んでください。細い棒は取り替え回数が増えるだけですが、太い棒は溶け込み不良につながります。
板厚 × 溶加棒線径 × 電流 早見表(アルミ TIG、交流、アルゴン)
| 板厚 | 溶加棒線径 | タングステン | 電流(A) | ノズル | アルゴン流量 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1.6 mm | 1.6 mm | 1.6 mm | 60~80 | #6(9.5 mm) | 9 L/min |
| 2.4 mm | 2.4 mm | 2.4 mm | 85~120 | #6 | 9 L/min |
| 3.2 mm | 2.4 mm | 2.4 mm | 125~160 | #6 | 9 L/min |
| 4.8 mm | 3.2 mm | 3.2 mm | 190~220 | #7(11 mm) | 12 L/min |
| 6.4 mm | 4.0 mm | 4.0 mm | 200~300 | #8(12.7 mm) | 14 L/min |
| 9.5 mm | 4.8 mm | 4.8 mm | 330~380 | #10(16 mm) | 17 L/min |
| 12.7 mm | 6.4 mm | 6.4 mm | 400~500 | #10 | 19 L/min |
AWS A5.10 アルミ溶加材メーカーが公開する TIG 施工条件表(交流高周波スタート、アルゴン 100%、下向き)による代表値です。実際の条件は継手形状・予熱・設備により異なり、貴社の WPS/PQR に従ってください。ノズル番号は内径を 1/16 インチ単位で表したもので、#6 は 3/8 インチです。
線径を間違えるとどうなるか
- 細すぎる:溶加棒が溶融池に触れた瞬間に溶け切り、溶着量が追いつかず、ビードが凹んで棒の取り替えが続きます。埋めようとして無意識に滞留時間が延び、入熱がかえって増えます。
- 太すぎる:溶加棒そのものが放熱体になります。送り込むと溶融池の温度が下がって母材の溶け込みが不足し、棒先端の酸化皮膜が溶接金属に巻き込まれて介在物になります。アルミの熱伝導率は鋼の数倍あるため、この問題は鋼より顕著です。
- タングステン径は溶加棒に合わせる:表でタングステンと溶加棒が同径なのは、電流範囲が両方を決めるからです。電流を上げると、細いタングステンは先端が溶けて球状になり、細い溶加棒は埋め切れません。
Indalco TIG 溶加棒の線径
Indalco の TIG 溶加棒の標準線径は 1.6、2.0、2.4、3.2、4.0、4.8 mm、10 kg 箱入りです。表中の 12.7 mm 板向け 6.4 mm は特注品のため、事前にお問い合わせください。銘柄ごとの線径と包装は製品ページをご覧ください:ER4043、ER4047、ER5356、ER5183、ER5554。母材に対する銘柄の選び方はアルミ溶加材選定ガイドをご覧ください。
溶加棒の仕様表示の読み方
溶加棒の仕様は通常「銘柄 × 線径 × 長さ」で表されます。例:ER5356 × 2.4 mm × 1000 mm。銘柄が成分(=適合する母材)を、線径が埋められる板厚を決め、長さは多くが 1 m(北米規格では 36 インチ=914 mm)です。TIG 用の定尺棒は TIG rod または filler rod、MIG 用のスプール巻きは MIG wire と呼ばれます。
見落とされがちな 3 つのポイント
- 溶加棒を清浄に保つ。アルミ溶接のブローホールの主因は水素で、溶加棒表面の水分や油分がその発生源です。使い残した棒は箱に戻し、作業台に裸のまま一晩置かないでください。
- 棒先端をシールドガスから出さない。赤熱した棒先端はアルゴンの外に出た瞬間に酸化し、次に溶融池へ入れたときにその酸化物を持ち込みます。クレータ処理の際は、棒先端をガスシールド内で冷ましてください。
- アルミの TIG は交流で。アルミ表面の酸化皮膜の融点は金属本体よりはるかに高く、交流の電極プラス半周期によるクリーニング作用で皮膜を除去します。直流棒マイナス(DCEN)では皮膜は除去できません。
よくあるご質問
3 mm のアルミ板には 1.6 mm と 2.4 mm のどちらの溶加棒を使いますか?
2.4 mm です。125 A 以上では 1.6 mm の棒は溶けるのが速すぎて継手を埋められません。2.4 mm は 2.4~3.2 mm 板の標準サイズで、在庫として最も汎用性の高い線径です。
MIG ワイヤを切って TIG 溶加棒として使えますか?
成分は同じなので技術的には可能ですが、MIG ワイヤは 0.9~1.6 mm で最も薄い板にしか向きません。柔らかく、スプールの巻き癖が残るため送りにくく、現場ではほとんど行われません。TIG には定尺棒をお使いください。
アルゴン流量は多いほどよいのですか?
いいえ。流量が多すぎるとノズル出口で乱流が生じ、空気を巻き込んでかえってブローホールや黒いスマットの原因になります。ノズル径に応じた 9~19 L/min の範囲を守り、屋外の風にはバルブを開けるのではなく風防で対処してください。
在庫とサンプル
商濠實業(Mastership)はカナダ Indalco アルミ溶接材料のアジア唯一の正規代理店です。ER4043・ER4047・ER5183・ER5356・ER5554 の TIG 溶加棒 1.6~4.8 mm を台湾に在庫し、メーカー純正データシートとミルシート(MTC)を添付して出荷します。母材の材質と板厚をお知らせいただければ、線径をご提案し、試験用サンプルをお送りします。
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