アルミ溶接ワイヤの選び方|ER4043・ER4047・ER5183・ER5356・ER5554 の違いと選定

アルミ溶接で最も多い失敗は、溶接士の技量ではなく溶加材の選定ミスです。割れ、強度不足、陽極酸化処理後の色調差——その多くは「溶加材と母材が合っていない」ことに行き着きます。本記事では、カナダ Indalco アルミ溶接材料のアジア唯一の正規代理店である商濠實業(Mastership)が、主要 5 銘柄 ER4043・ER4047・ER5183・ER5356・ER5554 の選び方を整理します。

ステップ 1:母材は 4xxx 系向きか、5xxx 系向きか

アルミ溶加材は大きく 2 系統に分かれます。4xxx 系(Al-Si)は流動性が良く高温割れに強いため、鋳物や 6xxx 系母材に適します。5xxx 系(Al-Mg)は強度と耐食性に優れ、構造部材や船舶用途に適します。まず母材の材質を確認し、下表で該当する銘柄を選んでください。

主要 5 銘柄 早見表

銘柄合金系適用母材特長代表的な用途
ER4043Al-Si(Si 約 5%)6061・6063・アルミ鋳物流動性良好、耐割れ性、ビードが平滑自動車部品、一般製缶
ER4047Al-Si(Si 約 12%)薄板、低融点が必要な部材融点が低く凝固が速い、気密性に優れる放熱器、熱交換器、ろう付
ER5356Al-Mg(Mg 約 5%)5xxx/6xxx 系の構造部材最も汎用的、強度と耐食性のバランス、陽極酸化後の色調も良好構造物、自転車フレーム、船舶
ER5183Al-Mg(Mg は 5356 と同等、Mn 0.5〜1.0%)5083 など高強度母材Mn 添加により溶接まま強度が最も高い、船級協会認証の主力銘柄造船・海洋構造、高強度構造物
ER5554Al-Mg(Mg 約 2.7%)5454 母材65 °C を超える連続使用に耐え、応力腐食割れに強いタンクローリー、化学薬品タンク車、高温部材

よくいただく 3 つの選定のご質問

6061 母材には ER4043 と ER5356 のどちらを使いますか?

どちらも使用できます。優先順位次第です。強度と陽極酸化処理後の色調の一致を重視するなら ER5356、耐割れ性と溶融池の流動性(鋳物の補修溶接や複雑な継手など)を重視するなら ER4043 をお選びください。

船舶用アルミにはどの銘柄を使いますか?

5083 母材には ER5183 という組み合わせが船級協会案件の標準です。一般的な 5xxx 系構造部材や艤装品は ER5356 で対応できます。重要なのは溶加材が船級承認を取得していることで、商濠實業が供給する Indalco ワイヤは ABS・DNV・LR・BV・CCS の承認を取得し、証書のご提供が可能です。詳しくは船級協会認証の解説記事をご覧ください。

高温環境で長期使用する部材はどう選びますか?

65 °C を超える環境で連続使用される部材(タンクローリー、化学薬品タンク車)には、5xxx 系のなかでも ER5554 をお選びください。ER5356・ER5183 のような高 Mg 溶加材は、高温下で応力腐食割れ(SCC)のリスクがあります。

銘柄選びと同じくらい、供給元選びも重要です

商濠實業(Mastership)は、カナダ Indalco アルミ溶接材料のアジア唯一の正規代理店です。全銘柄の MIG スプール/TIG 溶加棒を在庫し、純正データシート、ミルシート(MTC)、銘柄選定の技術相談をご提供します。どの銘柄を使うべきか迷われている場合は、母材の材質と用途を添えてお問い合わせください。最適な銘柄をご提案し、サンプルをお送りします。